【2023年3月】今週のフレームワーク

まず、最初にご紹介するフレームワークは、戦略を語る上で知っておくべき、バーニーのリソースベースビューの考え方です。今週のおすすめの本では、このフレームワークを含む企業戦略論の書籍をご紹介しています。

リソース・ベースト・ビューとは
(Resource Based View of the firm: RBV)


競争戦略の大家である、ハーバード大学経営大学院のマイケル・E・ポーター教授が、5つの力(5フォース)で環境分析を行い、ポジショニング(立ち位置)の重要性を説いたのに対し、オハイオ州立大学経営学部のジェイ・B・バーニー教授は企業が持つ経営資源を分析するアプローチ「RBV」をとっています(※バーニー教授はRBVと5フォースは補完関係にあるとしています)。RBVでは企業はそれぞれ異なった資源が存在するという前提に成り立っており、そうした異なる経営資源を活用することで、競争優位を獲得できるとしています。

リソースベースビューの論点
企業の競争優位獲得活動の責任 競争優位獲得活動は、企業の構成員全員の責任である。
競争均衡と競争優位競合企業の経営資源を模倣するだけならば、競争均衡がもた
らされるだけである。競争優位を獲得するためには、模倣困
難な経営資源を創造する
ほかはない。
戦略の実行戦略の実行に伴うコストよりも、戦略が創造する価値が大き
い限り、戦略は実行されるべきである。
従業員の重要性従業員への権限委譲、創造的な組織文化チームワークは持
続的な競争優位確保にとって不可欠の条件である。
組織の役割企業は、経済価値のある、希少な、模倣コストが大きな経営
資源の活用を支援しなければならない。仮に、所有する経営
資源と企業組織の間に矛盾や衝突が生じる場合には、組織を
変える
努力をしなければならない。

上記のような整理もできるのですが、
優れたパフォーマンスは、価値を形成する有形もしくは無形のリソースに依存している
というのがRBVの考え方なので、この観点で分解していきます。

RBVには3つのキークエスチョン(3つの重要な問い)があります。

  • どんなリソースはその企業が持つのか?
  • どんなリソースをその企業は構築できるのか?
  • どんなリソースをその企業は維持できるのか?

そしてそれらを確認するために5つの質問があります。

1) 独自性の問い
資源は、模倣・コピーするのが難しいか?
独自性をもっていると競争に巻き込まれないので、独自性は価値創造にとってもっとも重要な観点です。資源が独特であるならば、それが生み出すどんな利益でも持続可能になるということです。
競争者が簡単にコピーすることができる資源を備えていることは、一時的な価値は生むかもしれませんが、長く続きません。

2) 耐久性・持続性の問い
どれくらい速く、保持している資産・資源の価値が下がるのか?
資源を長い期間高い価値でもちこたえることができるほど、より貴重な資源と言えます。
独自性と同じように、この質問は、資源が時間とともに競争優位を維持することができるかを確認しています。

3) 占有性の問い
誰が、資源が生み出す価格を獲得するのか?
資源から生じるすべての利益が、資源を「所有する」会社へと、自動的に入ってくるわけではありません。
実際、価値は常に顧客、卸売業者、供給元と従業員を含む多数のプレーヤーの間で、交渉の過程で分け合っています。
サプライチェーンの中で影響を受けにくい資源を戦略の基礎をおくことは、獲得するのが難しい利益を占有することができます。

4) 代替可能性の問い
保持している資源は、ユニークなもので、代替可能性は低いか?
代替できるものが存在したり、技術革新によって代替品ででてきそうなものは、将来的にユニークな資源ではなくなるため、代替性について、ある程度しっかり見極めておくことが重要です。

5) 競争優位の問い
どの会社の資源が、本当によりよいものか?
常に競合会社の同じような資源と比較する、状況を確認することによって、自身の会社の競争優位性を確認するこができます。

まとめ

今回は、RBVについてご紹介しました。経営戦略を語る上では、基礎となる考え方なので、ぜひ皆さんも一度別途ご紹介している書籍やウェブサイトなどで勉強することをお勧めします。

このブログでも実際の使い方や他の戦略論との組み合わせでどのように活用できるかなどもご紹介していきたいと思います。

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